
STORY
これは、這夜双子があなたと出逢うまでの物語。
「…知りたい?…じゃあ、特別ね。」
そっと、あなたの耳元に口を寄せる。
【 WARNING 】
・この物語は全てフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がございません。
・現代では不適切とされる描写、道徳に反する描写が含まれていますが、これらを肯定・助長するものではございません。
・この物語は、ハッピーエンドではありません。苦手な方はご注意ください。
Episode.00
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Introduction
ここは宇宙のどこかに存在する、どこでもない惑星。
その惑星の空は、昼と夜が常に同時に存在しています。
そして、それぞれを支配する神が帳を下ろし、民と共に暮らしているのです。
【 禁忌 】
両神は対立関係にある。
故に、異なる民との接触は禁忌とされている。
Episode.01
序
とある昼の民と夜の民が交わり、双子が産まれた。
その双子は身体の一部がひとつになっていた。
禁忌を犯した両親は囚われ、拘束された双子は
昼の領地を治めるシロの神様の贄として捧げられた。
しかし、神は双子を禍い者とし忌み嫌い、
領地の中心に聳え立つ塔から海へと放った。


その双子の声には、夜を動かす不思議な力があった。
「息ができない、苦しい。」
「うまく、泳げない、冷たい、痛い。」
「どうして。ただ生きていたいだけなのに。」
「嫌だ、死にたくない。」
「 「 お願い、神様。どうか、助けて。 」 」
声を聞いたクロの神様は
海中をゆっくりと沈みゆく双子の願いに応える。
「その願い、聴き届けましょう。」


「生きる意思があるのであれば、こちらへおいでなさい。」
神は双子の繋がった身体を二つに割き、
完全なる身体と、其々に恩寵を与えた。
少年には知恵を、少女には力を。
「この力を上手く使って、昼の帷に囚われた夜の民を探し、そこまで夜を届けるのです。」
「さぁ、参りましょうか。」
双子はクロの神と共に、
昼の帷に囚われた夜の民を救う旅に出た。


【 Image music 】Cultus / zippy


Episode.03
救
Episode.02
破
昼の帷に囚われた夜の民の元へ向かい、
双子は歌って夜を届ける。
隠れ住む場所の頭上に少しだけ夜空を広げる。
それだけで夜の民は生きやすくなる。
双子は、歌った。
より多くの民が少しでも救われる事を願って。
毎日、毎日。
神様と共に、小さな幸せを紡ぐ。
一方で、クロの神は日毎に力を失い、徐々に弱っていった。
そうして夜の帷は徐々に薄らぎ、
昼は陰に潜み、笑みを浮かべていた。

夜の帷が薄らいだ頃、不意にシロの神が現れた。
突如、細く鋭い弓矢が、クロの神の身体を静かに貫く。
それを合図かのように、次々に白い弓矢がクロの神を襲う。
弱った神は双子をそっと抱き寄せた。
最期の継承をする。
持ちうる全ての知恵を、力を、其々に与え
消失する。

【 Image music 】Teen Pregnancy / BLANK BANSHEE
Episode.04
シン
敬愛する神を失った双子。
継承された神の強大な力に、幼い身が耐えられる筈がなかった。
その身体に激痛が走る。
憤怒
悲哀
絶望
双子の身体は禍々しい闇に包まれた。
その圧倒的な攻撃を受け
シロの神の陣営が瞬く間に崩壊する。
幼き刃は背後に忍び寄り、シロの神を貫いた。
昼と夜の神が消えた。
統率を取れなくなった惑星は崩れ、滅び始める。


しかし、双子はどうしてもこの世界を捨てきれなかった。
この世界の、良いところも美しいところも多く知っている。
全てが崩壊した世界で、双子は歌う。
クロの神が願っていた、昼と夜の調和が取れた世界を願って。
すると、昼と夜が溶け合いながら、世界は再構築を始める。
そうして生まれた世界は、とても静かで、美しく、
崩壊していた。
「あの輝く青い星にお行きなさい。」
「彼処は昼と夜の統率が取れている。」
神が遺した言葉を頼りに、双子は青く輝く星へと移動した。
今日も双子は、夜を、歌を、届ける。


【 Image music 】Myself & I / TheFatRat & RIELL